- 遥かなる山脈と黒海、カスピ海に抱かれた国々
「雄大な自然美と民族の誇り」コーカサス
シルクロードの町としてムトゥクヴァリ川沿いに栄えた、ジョージアの首都。
その歴史から様々な民族が行きかってきたため、グルジア正教会、アルメニア正教会、シナゴーグ、モスク、カトリック教会が一つの街に混在し、世界でも稀な多文化都市となっている。コ-カサスで最も美しいといわれる街の1つトビリシでは他にはない雰囲気を楽しむことが出来る。ジョージアはワイン発祥の地と言われており、街中にはワインを飲む人の像があるほどで、グルジアワインも楽しみの一つだ。街を一望するにはナリカラ要塞、ムタツミンダ山がおすすめ。
ミリタリーハイウェイをトビリシから約30分北上したところにある、世界遺産の古都。
ムトゥクヴァリ川とアラグヴィ川が交差しており、ジャバリ修道院からその合流点を見下ろせる。この2つの川は色が違うのがおもしろい。ジャバリ修道院は十字架型(cross-type)の教会として初めて建築された教会。スベティツヴォリ聖堂では、イエス・キリストの着衣が教会の下に眠っていると信じられ、教会の前では「聖なる油」が販売されている。
ミリタリーハイウェイをトビリシから約2時間北上した場所にあり、スキーリゾートしてヨーロッパの観光客で賑わっている。ミリタリーハイウェイとは軍用道路のことで、トビリシからロシア連邦の北オセチア共和国の首都ウラジカフカスまで続く南北全長約210kmの道。かつてのイスラム教国、オセチアとの境界を示すために木の十字架を立てたのが始まりと言われている十字架峠には、現在は石の十字架が建てられている。ロシアとの国境まで北上すると、コーカサス山脈の有名な山の1つ、カズベク山(ジョージア最高峰、標高5,047m)がそびえる。カズベク山を臨む丘の上にはツミンダ・サメバ教会が建っており、雄大な景色が楽しめる。
ジョージア北西部スヴァネティ地方にはにはたくさんの小さな村があるが、どの村にも9世紀から12世紀に作られた石の塔があり、まるで絵本から飛び出したような、その景色が美しい。住民の多くは少数民族のスヴァン民族で、塔はスヴァン文化の象徴である。かつては監視塔と要塞の役割があった。世界遺産に登録されているウシュグリ村へは、メスティアを起点として車で約2時間。一年の半分は雪が降っているため、メスティア間の道路が閉鎖されていることが多い。村には美しいフレスコ画で知られるラマリア教会があり、スヴァン人はグルジア王国の最盛期を作り上げたタマル女王が埋葬されていると信じている。
人口100万人を越えるアルメニアの首都。
アルメニア正教の総本山であるエチミアジン大聖堂、ゲハルド修道院等多くの教会や博物館等があり、有名なアルメニアコニャックの工場もある。天気が良ければノアの箱舟が行き着いたといわれるアララト山を街中から目にすることができる。荒々しい岩壁に囲まれた標高1750mのアザート渓谷にある岩窟のゲハルド修道院は、世界遺産に登録されている。断崖にそって洞窟のような内部に入ると、岩をくりぬいて造られた聖堂などがあり、今も訪れる人々のろうそくが絶えない。
海抜1900mに位置し「コーカサスの真珠」と呼ばれるコーカサス最大の湖、セヴァン湖は、南米ペルーのチチカカ湖に次ぐ高さ。湖畔にはコーカサスの山並みが連なり、数多くの教会が点在する。
ロシア語でカフカスと呼ばれるコーカサス地方は、旧ソ連のヨーロッパ部分の最南端に当たる。西は黒海、東はカスピ海、北は大コーカサス山脈に挟まれ、アジアとヨーロッパの間にあることから、「もう一つのシルクロード」とも呼ばれ、様々な文化が交じり合い、複雑な歴史を歩んできた地域。帝政ロシア時代も保養地として発展したように、綺麗な空気と大自然を満喫できる。
グルジアのスヴァネティ地方はヨーロッパ最後の秘境とも言われ、まるでおとぎ話に出てくるような塔の街の景観は世界遺産にも登録されているが、標高3000~5000 m級の山々に囲まれているスヴァネティ地方は冬は積雪のため訪問することが出来ない。
同じく世界遺産のアルメニア正教の総本山、エチミアジン大聖堂には今も敬虔な信者が訪れる。一方、久しくペルシャの支配下にあったアゼルバイジャンはイスラム色が濃く、現在は石油によって発展している。
起伏に富むコーカサス地方の気候は、場所により大きく異なる。黒海沿岸(西部)は夏は暑く、冬は比較的温暖。東部は冬はかなり冷え込む。山岳地帯は多雨地帯で、冬場の積雪は2mに達することもある。
南オセチア共和国やチェチェン共和国といった国境地帯では民族紛争が続いているので、近づいてはならないが、首都や訪れる観光地の治安は比較的安定している。いずれも言語が通じない(英語の表記も無い)場合が多いので、言語面に不安がある場合は事前に旅行の手配を頼んだほうが良い。
イスラム色の濃いアゼルバイジャンだが、他のイスラム諸国と比べると比較的規律も緩く、酒類も街中で広く販売されている。レストランでの飲酒も問題がなく、モスク等の限られた場所を除いて、女性の服装も自由。